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飯支度【草の宿(348)】

飯支度【草の宿(348)】

 一人ばかりの夕飯ならば、尋夫の飯づくりはものの数分です。けれども客に食べさせる飯を作るとなればそうはいきません。尋夫には初めてのことでした。
 常にはないほどに、丹念に芋の皮をむいてみますが、ここのところ身に付いたぞんざいなやり方とどれほどの違いがあるかと、ふと思いなしてもみるのです。

 なによりもトビダケの強い匂いが、尋夫を大胆にします。トビダケがあれば、なに、細かいことを気にすることはなさそうな気がしてきます。

 手慣れたやり方に戻って、荒っぽくも野菜を拵え、昼間、雪をたたき込んだムロの戸を開けてみました。ひやりとした空気が顔をくすぐります。上首尾のようです。

 何かの小動物が以前に狩って、地中に埋めておいた獲物を掘り起こすように、尋夫はザラメ雪を掘り、油紙にくるんでビニルの袋に入れておいた塩漬けの鳥肉を取り出しました。 この肉の拵えは、祖父のやり方を見覚えたやり方そのままです。内臓を取り除いて、肉屋の店先にぶら下がっていた鶏を買ってきては、すぐさまに全体に粗塩をすり込んで、ムロの中に埋めます。

 鶏は一羽を丸ごと買う。これも何かの折に祖父に聞いたことでした。これからの季節では、それも無理かとも思い出していましたが、雪に冷えたムロの冷たい空気に、尋夫は少し安堵しました。

 油紙から取りだした鶏を、その場でまっぷたつに割り、半分はもう一度ていねいに包んで雪の中に埋め込みます。

 トビダケを入れた鶏鍋にするのです。

 燃え上がったストーブに鍋をかけ、これも常よりも多めの米を磨ぎました。二人分の飯と言うこともありますが、馬に飲ませるとぎ汁が、わずかの米ではとれようもないと思ったからです。
 久しぶりに、釜の中にたっぷり米を入れ、ズシズシと磨いでいると、その感触が懐しくも思われます。米を磨ぐ感触とは、本来こういうものだったと思われもするのです。一人分の米を磨いでいたときには忘れていた感触でした。

 小屋にある一番大きなバケツに米のとぎ汁を集め、尋夫は小屋の入り口で馬を呼びました。

 あたりは闇が濃くなり、もう夜の入り口です。小屋の廂の下で、山蚊が紡錘形の渦をなしてうなりを立てていました。

「こいつはひでえな・・・・」

 尋夫は小屋の入り口に近づいてきた馬を眺めて、少しばかり考え込みましたが、バケツを手にしたままに、小屋の戸を一杯に開きました。

「鹿毛、こっちに入れ。夜通し外では、ブヨや蚊に食われちまう」

 馬はちょっと戸惑った風でしたが、尋夫が鼻面を撫でて顎の下を撫でると、おずおずと小屋に入ってきました。
 窯のそばで、バケツを土間に置きます。

「さあ、これを飲め。おまえ、こいつを嫌いじゃないだろ」

 馬は尋夫が促すと、バケツの中身に口を付けました。やがて穏やかな音を立てて、馬は米のとぎ汁を飲み始めます。
 なんといううまそうな音だろうと、尋夫はその音に聞き惚れました。聞いているだけでウットリとなりそうな音です。思わず尋夫はごくりと自分の喉を鳴らしました。

 鎌を持って外に出ます。
 シロツメクサの茂っている中で、サクサクと鎌を横様に振れば、たちまちに莚一枚には巻き取れないほどの草の山ができました。そいつをギュウと固絞りにまとめ上げて、肩越しにぶら下げて小屋に戻ると、五右衛門風呂から男が出てきたところでした。

 男はあっけにとられたように、窯のそばにいる馬と尋夫を見つめました。

「何としたことだ、鹿毛よ。ばかめ。のこのこと人様の住まいに這入り込みやがって」

 フンドシひとつのままに、手に持ったタオルを振り回しながら男が叫びます。馬はきょとんとした顔をしました。

「俺が入れたんだよ。こんな夜は、外では山蚊とブヨに食われちまうからな」

 尋夫は吹き出しそうになりながら、恐ろしげな顔をした男に向かって言いました。

「いいんだ。ほれ、こいつは鹿毛の夜食だ」

 どさりと莚の中身を土間にぶちまけます。

 男は一声うなり声を上げて、尋夫を見つめています。

「・・・あんちゃん、こいつは。・・・だがな、鹿毛はただの馬だ。大事な大将の小屋の中でも、こいつは遠慮をしないで糞をするぞ」

「なに、馬糞かい。願ってもないものだよ。俺の野菜にくれてやるから」

「あんちゃん、おまえは何とも変わっているなあ」

 男は、なおもたまげたように唸りながらつぶやきました。


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2008/02/16 10:09|草の宿TB:0CM:0
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