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シケモク【草の宿(282)】

草の宿(282)

「あんちゃん、なんだい、まさかシケモクをあさってるんじゃないだろうな」

 ぽんと肩を叩かれて、尋夫はギクリとして振り向きました。
 昼下がりの駅の構内です。

 紺色の制服と制帽の男が、尋夫を怪訝な顔をして見つめています。怒っている風ではありません。尋夫は安心しました。

煙草の吸い殻を集めているんです」

 度胸を自分の腹に確かめて、尋夫は男に言いました。

「なんともはや、今時珍しいねえ。昔はちょくちょく見かけたものだが、あんちゃんほどの若さでシケモクあさりとは。ちゃんとした煙草を一本やろう」

 男はポケットを探って煙草の箱を取り出し、チョンチョンとその箱を小さく上下に振って、一本の煙草をとりやすいように頭出しをしてくれました。

「遠慮はいらんよ、一本取りな。俺もついでに一服しよう。ほれ、あそこのペンチで吸おう」

 男は尋夫に笑いかけています。からかっている様子ではありません。親切な笑い顔でした。尋夫は戸惑って立ちつくしています。

「へへ、俺もあんちゃんぐらいの時には金が無くてね。たまにシケモクの世話になったもんだ。こっちにお座り」

 男はベンチに座り、くわえた煙草に火をつけました。なおも煙草の箱を尋夫に差し出しています。

「おや、目当ての銘柄ではなかったか。いいじゃないか。たまには別の煙草を吸ってみなって」

「ええと、いや、俺は煙草は吸わないんです」

 尋夫はあわてて右手を振って煙草を断りました。

「なんだい。妙じゃないか。それじゃあそのシケモクは何のためだ。まさか構内の掃除をしてくれてたって訳じゃないだろう」

 男の顔に不審なものを見る色が漂ったのを見て、尋夫は観念しました。

「これは吸おうと思ったんじゃないんだ。こいつで蛇を追っ払おうと思ったので」

「なんのこったか」

「俺も効果があるかどうかははっきりしてないんだけど、蛇は煙草のヤニが嫌いだと聞いたものだから。俺の小屋のまわりには、蛇がいるからね。これで煙草の煎じ汁を作って撒いてみようと思ったんです」

 尋夫は自分の説明に、男がどう反応するのかかすかに不安になりました。

「ははあ、蛇ねえ。そう言えばそんなことを俺も聞いたことがあるなあ。しかし、あんちゃん、住まいのそばにそんなに蛇が出るとは、いったいどこに住んでるんだい」

「ええと、山の中です。集材基地の駅から登った山の中」

「ほほう、どっちの山か知らないが、俺も山には時々はいるよ。釣りが道楽でな。沢を登って山女魚三昧。兄さんのところに山女魚はいるか」

山女魚もイワナも。まだ俺は釣りはしていないけど」

「山の雪の具合はどうかね。沢底にはまだ雪があるだろう」

「沢底には少しね。林道は乾いてますよ」

「そうか、そろそろ行ってみたいもんだな。あんちゃんは山でなにをしている。集材かい。それとも伐切の方か」

「俺、学生です」

「学生?まさかあの大学じゃあないだろう」

 男はひょいと首をひねってみせました。その視線の先には、尋夫が通っている大学の図書館の時計台が見えます。

「あれです」

「なんと」と、男はつぶやき、口笛のような音を立てて、煙草の煙を濃く吐き出しました。

「集材基地の山の中にひとり暮らしかい。それであの大学に通ってきているというのかい。おぬし、変わっていなさるなあ。おぬしはヘルメットをかぶって棒きれを振り回さぬのか」

「まあ、俺の場合、ヘルメットをかぶった方がいいようなところに住んでいるけど」

 男は尋夫の返事に声を上げて笑い出しました。

「あんちゃん、妙なお人だが、俺は気に入ったよ。蛇のためにシケモクを集めるとは、なんとも楽しみな人材だ。よしよし、そう言うことならばだ、そんなところに落ちているシケモクを拾う必要はないぞ。あそこのゴミためのそばの石油缶にはなあ、煙草の吸い殻がごまんと詰め込まれている。あれをひとつ担いでいけ。
 話には聞いていたけどな。ほんとに煙草が蛇に効果があるものか。俺も見てみたい気がするよ」

 男は煙草を吸い終わってベンチから立ち上がり、尋夫を案内をするように先を歩き出しました。



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2007/05/06 02:17|草の宿TB:0CM:0
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