書くに値しない日記

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書くに値しない日記
某月某日
 土が顕れてゐるところが少ないためだらう、一坪の庭には生き物たちが密度濃く生きてゐる。おびただしい蝉の穴がある。植ゑ込みには抜け殻が実が生つたやうに残つている。抜け殻の実が生り、蜘蛛の巣の花が咲いてゐる。小さな蜘蛛で手のひらほどの大きさの網である。丸虫がカンカン照りの中を平気でうごめいてゐる。この虫は植木鉢や石の下に潜んでゐるのが常であるけれども、日照もあまり苦にはしない。虫ばかりではない。猫も小用を足しにくる。コンクリートばかりでは、彼らの習性は少なからず圧迫されてゐるのだ。
 MIDIの鳥の声を編集する。ウィンドウに填め込むためであるから、サイズを出来るだけ小さくする。地鳴きのやうなくぐもつたものは避けて、出来るだけ明瞭なものを探す。斑鳩、鶯、杜鵑、郭公、梟、鷽、赤翡翠を選んだ。大瑠璃、赤腹、鵙などを取りたいと思つたが、これらはサイズを切り取ると趣がなくなるのである。選んだ声は一鳴きを切り取つてもそれなりに聞こえる。鳶、雉、山鳩などもよいかもしれないが、数が限られてゐるので見送った。
 鳥の声の波形はそれだけでも趣がある。間を切りつめて小さくする作業だが、波形のあまりの精妙さにしばし切るのが躊躇はれた。結局朝の5時まで没頭する。

某月某日
 引き続きフリーソフトを物色する。インストゥールとアンイストゥールの繰り返しになる。及び腰でウィンドウで作業をしてゐる。今一つ手になじまないところがある。フリーソフト集を眺めてゐると、パソコンとはさういふものであることが実感できる。枝葉末節のところが気になつて仕方がない。

某月某日
 アイコンはパソコンの根付のやうなものなのか。とつくりと眺める。名人の意匠が展開されてゐる。これらの創意を眺めてゐると、しばし圧倒される。試に自分で一つ作つてみるが、頬白が雀になつた。輪郭をはつきりさせるのがコツのやうだが、名人のものを眺めると、さうとばかりも言へない。

某月某日
 巨大な半月が西の空にあつた。
 ATOKで歴史的仮名使ひをする。ここまでもすべてATOKだけで、「風」で作つてコンバートしてゐる訳ではない。単語登録を繰り返しては試してゐる。REPでマイフェスからコンバートするといふ事が出来なくなつてゐる。マイフェスは圧倒的に98のDOSのものが使いやすいやうな気がしてゐるが、もう少し使はなければわからない。「風」では単語登録は無縁のことであつたから、今更に登録のむづかしさに戸惑ふ。当分はこの試みを続けてみる。少しはそれが可能となつてゐるので、必ずしも無駄ではないだらう。ところでこのATOKといふ奴は、自動的に入力誤りを補正する機能が付いてゐるのである。歴史的仮名づかひで入力する場合は、これをオフにする必要がある。漢字変換させるものは、当然現代表記で登録されてゐるので、入力にはコツが要る。かうした辺が、やつと分かつてきた。DOSには降りないと決めたので、「嵐」もはずす。「嵐」はよくできてゐるが、時々妙な動きになるので、書き続ける気にはなれない。ウィンドウに対応するまではATOKでいくことにする。
 ATOKで昨日までは英字と仮名文字の切り替えは「平仮名キー」を二度押さなければならなかつたところが、今日はワンタッチで出来るやうになつてゐる。これは本来そのやうになつてゐるのだから正常になつたと言へばその通りだが、なんだか妙だ。マウスの拡張プログラムを二つまで使つてゐるので、その影響だとばかり思つてゐたのである。ウィンドウを終了してもDOSに戻らず、即座に再度ウィンドウが立ちあがつてしまふといふ現象も起きてゐる。ウィンドウを終了する際に使つてゐる赤翡翠のwavが長すぎるのかも知れないと思つて、さらに短く編集する。なんだか鳥の声ではなくなつてしまひさうな気配がある。と、ここまで書いてみて、歴史的仮名づかひにするには単漢字登録を使ふ事が早道であることに気づいた。

某月某日
 昨夜仮名キーと英字キーとの切り変へがワンタッチになつた事が不思議だつたが、これはKeyChangerの設定でどうにでもなるのである。
 今まで全く夢想だにしなかつた人が現れる。名前も忘れてゐた。だがそれは新鮮な活力を呼び起こしてくれた。ここからもうひとつ書き出すことが出来るかも知れない。かうした力はある時、不意に、すきま風のやうに流れ込んでくる。
 夜11時過ぎ、酔つぱらふ。酔つぱらつても書けるのがATOKだ。この行からは本当に酔つぱらつてゐるので、削除しないやうに。酔眼はここにある。なんだかニンニクも食ったやうな気がする。蛇取り行の親父になつたやうだ。あれは行者大蒜だつたか。ニンニクといふものは、野蛮の気風を体内にもたらすもののやうだ。

某月某日
 今、帰つたぞ。ただいま深夜二時。襤褸布のやうに疲れきつた。人間ではない、何か干からびたミイラになつたやうな気分で帰つた。虫が鳴いてゐる。広壮な屋敷で庭には庭園灯が明々と灯つてゐる。明かりに幻惑されて蝉がこの時刻にまだ鳴いてゐるのかと思つた。やかましいほどの鳴き声だつた。ミイラの耳にすら異様に聞こえた。自転車を停めて聞き入る。キリギリスだ。あまりの騒然たる響きに、一体何の虫かわからぬ程だつた。不思議なのはこの屋敷のみで虫の饗宴があり、垣根を隔てた同じやうに広壮な屋敷内はひつそりとしてゐる事である。瀧側の「なよびか物語」を、思ひ出した。
 さう云へば瀧側も濤藏も久しくやつて来ない。このくそ暑さに、奴らはほんとのミイラになつてゐるのじやあるまひな。「霧よ、走れ」と言つたきり、瀧側の文才は干からびてしまつたらしい。おもしろくもないやつだが、書いたものはもつと面白くないといふやつも珍しい。事のついでに書いておくが、昨日謎のやうなメモになつてしまつたが、夢想だにしなかつた人といふのは晴美ちやんの事である。晴美ちやんが夢の中で石の階段に座つてゐた。俺たちはみな子供だつた。床屋の真由美ちやんすらも子供だつた。これには驚いたが、ちやんとした子供の風体をしてゐるのだつた。俺は真実の真由美ちやんの子供時代なぞは知らないのだが。夢といふのは不思議なもので、大人になつてから識つた人の子供時代まで現れるのである。瀧側の子供時分は識つてゐるが、濤藏なぞは二十歳で知りあつたときですら既に親父のやうな風体をしてゐたのである。それがしつかり子供になつてゐるのが不思議だつた。それよりもこれらの人々がみな遊び友達のやうなのが不思議だ。むろん夢の中ではすこしも不思議ではなかつたのだが。
 そんなことはどうでもよいが、俺は子供のくせに晴美ちやんを嫁に貰うことに決めてゐるのだつた。晴美ちやんは石の階段に座つて俺を見てゐる。ピースサインこそしなかつたものの、晴美ちやんもどうやらそのつもりであるらしかつた。俺は不思議で不思議で、頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになつてゐる。俺と瀧側と濤藏と、それから真由美ちやんは石の階段の下にゐた。みんな晴美ちやんが俺の嫁になることを識つてゐるのだつた。どうもさうらしかつた。ストーリーもなにもなく、ただそれだけで夢から目覚めた。
 目覚めると俺は不思議に頭の中が澄み渡つてゐた。ガックリはしてゐなかつた。女友達が少ないのは確かだが、よりによつて晴美ちやんを嫁にするとは晴天の霹靂だ。潜在意識が夢になつたとはとても思へない。しかし近頃見た夢の中では飛び抜けて奇抜なものだ。澄み渡つた頭で俺は考へた。どうして、俺もさうだが、俺の知己はみな独り者なんだらう。岸田得次郎、妙子さん、小川さん。蛇取りの親父。薔薇園の親父。瑞子さん。まあ、濤藏、瀧側が独り身なのはよくわかるが、真由美ちやん、妙子さん、小川さんまでが独り身なのはわからない。まして晴美ちやんも考へてみれば独り身なのだつた。瑞子さん、それから蛇取りの親父と薔薇園の親父もかつては伴侶がゐた訳だから、一概には言へないが、べつに寄る辺なきもの集団の血判同盟ではないのだが。

某月某日
 自殺鳥の命運。あやふやなものが飛行してゐる。死ぬほどに疲れきつた。死ぬほどであるのにさらに深い眠りのために遊びつづける。この辺の神経が我ながらわからない。五臓六腑をくたくたの雑巾のやうにして帰り着く。深い眠りは確かにあつたが、すこしも疲れが抜けてゐない。飯をワシワシと食ふことで回復することにする。酒を飲みたいときは飯を食いたいときである。これは偉大な発見であつた。

某月某日
 何でもかんでもスタート・アップに登録してゐる。おかげで画面の中に妙なものが右往左往してゐる。これらが必要なものであるかさうでないかは、しばらく使つてみなければわからないといふのが理由だが、なにがどのやうに動いてゐるのかすらわからないほどの数を乗せてゐる。右クリックをすると何か妙なものが現れる。クリップボードのやうなものだが、これがどのプログラムが出してゐるものなのか不明だ。マウス関連のものが多いが、マイフェスはマウスを使はぬ方が便利である。そのことに気づいたのは最近のことである。DOS判のマイフェスと同じやうな使ひ方をしてゐるのがいちばん効率がいい。
 ところでこの文章はすべてATOKで書いてゐるのだが、結構使へるではないか。ただし単漢字として登録する作業は、まだ当分必要だと思ふ。また単漢字で登録してゐるがゆゑの障害といふのも確かにある。その例を書くのは面倒くさいから次回以降に書く。

某月某日
 例へば「随ふ」「遵ふ」「従ふ」と使ふためには、それぞれの終止形を「は行五段」で登録してもATOKは相手にしてくれない。ではどうするかと言ふと、「したが」といふ讀みでこれらの漢字を単漢字として登録する。助詞は自動登録を設定してあるからそれで何とかなる。ここのところで以前は(つまり「風」を使ふ事が出来た時分には)既にやる気が全く失せてしまつたのだつた。かうしたやり方には「随ふ」ことが出来なかつたからである。しかしこれはバグではありません、仕様です、といふもののほんの一例にすぎない。仕様に随ふ事で楽になるのならば、今はそれに随ふ。なぜならば、FEPといふものは今こそまさに過渡期といふものであらうと思ふからである。
 例へそれがさうでなくともさうではない。「さう」はどうするか。さうではない。さうである。ありさうな問題である。これを副詞として登録するか、あるいは単漢字として登録するか。「あるいは」は「あるひは」と書くのは謬りであるといふ。かうなると確かに迷ふ。いかに歴史的仮名づかひのためとは言へ、こんな滅茶苦茶をしてゐてどこまで続くものかと危ぶみたくなる。我が事ながらさう思ふ。しかしこんな罰当たりなことをしてゐても「風」がウィンドウに乗るまでのことと思へばどうといふ事もない。これは仕様にたてついてゐる訳ではないのである。彼はそれを仕様といふ、我はそれを方策といふ。パソコンを使ふといふ事はさういふ事である。

某月某日
 一日たりともハイビスカスを萎れさせてはならぬ。ただでさへ、陽を受ける時間は短いのである。どうしてもこの木を復活させてやる。

某月某日
 連休の開始なるも、一つ残務あり。有田市にゆく。有田からさらに車で十分、長崎東波佐見郡湯無田郷。有田もさうだが、この町も全町これ陶磁器に関する営業をしてゐる町なり。雨が少し降り、少しばかり暑さは和らいでゐた。有田の駅前で煙草を吸いたくなつて喫茶店にはいる。有田焼が充満してゐる喫茶店。十時に行き、三時に帰る。電車の中で、断続的に眠る。
 マイフェスを読む。ウィンドウ版のマイフェスを読む。この連休からMIL/Wを読み始める。

某月某日
 一日部屋に籠もる。クーラーを断続的に入れる。うつかりしてゐると、下半身がすつかり冷えきつてしまふ。大腿部が石のやうに痺れてしまふ事もある。午後雨が来た。かなり強い降りが小一時間も続いたらう。今夜はハイビスカスの水は不要だ。それでも暑さは変はりがない。深夜になつてもクーラーをこまめに入れては切る。マイフェスのマクロのマニュアルを開いてみるが、とても薄つぺらなマニュアルで太刀打ちできるやうな代物ではない。不思議なのは作例のソースをどうすれば見れるのかすらもわからぬ事だ。ゆつくりと取りかかる。
 今日も相変らずフリーソフトの点検。今日の掘り出し物はパート法とガントチャートでプロジェクトの計画を立てるM1W。ガントチャートいふのは名前だけは識つてゐたが、実物をみるのは初めてだ。パート法を識つた時から、これはパソコン向きだと思つた。それが実物で見つかつたのだから、実にうれしい。これも使ひこなすとなればなかなか難かしさうだが、しばらく使つてみる。
 これまで試用してきた、いくつかのプログラムを削除する。ファイラーのもつと良いものはないものか。アーカイバを付加してゐるファイルマネージャーはなかなか良くなつたのだが、異なつたドライブ間のファイルの移動の時に妙な動きになる。一つ評判のいいファイラーを登録してゐるが、これならばファイルマネージャーの方がましなやうな気もする。しかしこれももう少し使つてみる。アイコンも不要のものはすべて削除した。

某月某日
 「卓駆★」のver.2.00を手に入れる。思はず唸つてしまつた。それほどに使ひやすい。マニュアルの只の一行すら眼を通さずとも、レイアウトを見ただけで大幅な改良がなされたことが分つた。これは直感といふものだ。実際今までのver.1.76では、敢てLhaを付け加へたファィルマネージャーから乗り変へる必要もないと感じたのだが、かうなつてはさうもいかぬだらう。大したことをするわけではない。ファィルの移動とコピーと削除、それにアーカイバの使いやすさだけが今までの作業のなかの主なものだつた。ファイルマネージャーには、それすらも妙な動きで作業がとぎれることがあつた。今度の「卓駆★」は、サクサクと作業が進む。バージョンアップがこれほどに感動的なのは、マイフェスが5.0から5.5になつた時に似てゐる。シェア・ウェアといふものを買つた事は無かつたが、これとチュー公は登録しやうと思ふ。
 launcherをPopUpMenuに変へる。デスクトップには何も無い方がいい。とは言へチュー公は気に入つてゐるので外せない。ATOKのガイドラインも、今は盛んに単漢字登録をしてゐるのでアイコンに出来ない。この上ランチャーが表示されるのは息苦しいと思つてゐたところ、二つばかり見つける。まだ挙動に不審なところがあつて安心は出来ないが、なかなか剛力なものと見た。
 一日曇天。雨かすかに降る。蒸し暑い。一日どこにも出かけぬ。深夜食料を調達す。料理をすると、なんだか忍びの者が非常の時に食ふやうなるものが出来た。ハフハフと食ひ、再びウィンドウの中へ。

某月某日
 今年は梟は啼かない。鴻巣山を見かぎつたやうだ。ウィンドウから、さすがにあんまりだと思ひ、鶯をはずし、駒鳥、斑鳩、赤翡翠、鷽、郭公、杜鵑の人事移動を行ひ、梟に最も啼いて貰ふ事とする。そろそろ鵙のwavも用意しやうかなどと思ひながら。それにしてもあの梟はどうなつたものやら。

某月某日
 夏の盛りもまさに終ろうとしてゐる。執着もやや薄れしか夏木立。とてもMILを読まうといふ気にはなれない。

某月某日
 遷ろひゆくものに任せて書き進む。

某月某日
 嗚呼でもなく買うでもない。ウィンドウに寄せる感慨は今はこれに尽きる。いったん気になると止めどが無くなり、インストゥールしたものを悉く外す。だからといつてどういふものが欲しいといふ了見もない。

某月某日
 日盛りの中を電気屋まで本を買いに走る。電気屋になぜ本をと見る向きもあらうが、パソコンに関する本は本屋よりも電気屋に入荷するのが早いからである。しかし見あたらず。

某月某日
 夏のファイルを広げてみる。全体に何も残つてゐない。一葉鴉に関したことを記してゐるのが唯一の救いのやうなものだ。wavに鳶がない。これは返す返すも残念なことである。

某月某日
 鳥のwavを短くする。鳥の啼鳴の波長は、それだけで鳥自体を髣髴とさせるものがある。

某月某日
 朝、雨音を夢うつつに聞く。

某月某日
黒鶇 WAV 205,261 08-20-95 19:09
鮫鶲 WAV 173,674 08-20-95 20:05
三光鳥 WAV 77,564 08-19-95 19:15
山原秧鶏 WAV 156,431 08-19-95 18:24
山雀 WAV 94,590 08-20-95 17:17
山椒喰 WAV 57,448 08-20-95 17:10
山翡翠 WAV 122,474 08-20-95 19:28
四十雀 WAV 47,932 08-20-95 17:11
慈悲心鳥 WAV 42,744 08-20-95 18:53
小鮫鶲 WAV 81,998 08-19-95 19:06
小雀 WAV 87,182 08-20-95 18:51
小啄木鳥 WAV 80,674 08-20-95 18:34
小椋鳥 WAV 192,771 08-20-95 18:59
小瑠璃 WAV 111,898 08-20-95 19:01
真鶸 WAV 46,745 08-19-95 18:48
星鴉 WAV 56,573 08-20-95 20:19
青葉木莵 WAV 68,588 08-20-95 18:28
青鵐 WAV 46,213 08-20-95 18:39
赤啄木鳥 WAV 100,652 08-20-95 18:46
某月某日
赤腹 WAV 57,816 08-19-95 18:06
赤翡翠 WAV 36,155 08-20-95 19:20
赤鬚 WAV 37,380 08-19-95 18:08
仙台虫喰 WAV 71,444 08-20-95 19:07
大寿林 WAV 32,945 08-19-95 18:41
大地鷸 WAV 159,660 08-20-95 19:32
大瑠璃 WAV 117,438 08-20-95 17:23
杜鵑 WAV 20,713 08-20-95 18:44
島青鵐 WAV 38,544 08-19-95 18:38
筒鳥 WAV 132,459 08-20-95 19:56
頭高 WAV 90,869 08-19-95 18:50
某月某日
日雀 WAV 110,995 08-20-95 18:36
背黒鶺鴒 WAV 81,444 08-20-95 19:24
斑鳩 WAV 82,431 08-20-95 17:26
眉白 WAV 50,981 08-20-95 19:10
柄長 WAV 120,329 08-20-95 17:18
便追 WAV 185,993 08-20-95 20:08
頬赤 WAV 55,694 08-20-95 19:49
頬白 WAV 67,740 08-20-95 18:42
目細虫喰 WAV 147,436 08-20-95 20:02
目白 WAV 117,725 08-19-95 19:12
野駒 WAV 88,919 08-19-95 18:34
野口ゲラ WAV 65,526 08-19-95 18:22
野鶲 WAV 75,890 08-20-95 19:50
薮雨 WAV 184,804 08-20-95 19:55
雷鳥 WAV 196,724 08-20-95 20:15
緑啄木鳥 WAV 59,494 08-20-95 18:57
瑠璃鶲 WAV 74,006 08-20-95 19:59
梟 WAV 42,490 08-20-95 18:56
雉 WAV 35,726 08-20-95 17:31
鶯 WAV 32,248 08-20-95 19:46
鵙 WAV 118,722 08-20-95 19:44
鷦鷯 WAV 128,339 08-20-95 19:22
鷽 WAV 91,309 08-20-95 20:11
尉鶲 WAV 93,221 08-19-95 18:52
雨燕 WAV 116,771 08-20-95 20:18
鴛鴦 WAV 135,941 08-20-95 19:17
黄連雀 WAV 84,544 08-19-95 18:55
黄鶲 WAV 102,286 08-20-95 18:31
黄鶺鴒 WAV 119,974 08-20-95 19:27
河烏 WAV 158,918 08-20-95 19:15
花鶏 WAV 62,938 08-19-95 18:46
郭公 WAV 35,373 08-20-95 19:40
橿鳥 WAV 38,916 08-20-95 18:40
茅潜 WAV 176,066 08-20-95 20:21
冠鷲 WAV 59,117 08-19-95 18:11
岩雲雀 WAV 82,700 08-22-95 12:57
蟻吹 WAV 113,187 08-22-95 12:56
駒鳥 WAV 61,342 08-22-95 12:55
熊啄木鳥 WAV 20,504 08-19-95 18:30
五十雀 WAV 48,209 08-20-95 19:05
溝五位 WAV 82,140 08-22-95 12:51
紅猿子 WAV 60,248 08-22-95 12:52
仏法僧 WAV 135,813 08-22-95 12:58


某月某日
 いたずらにwavファイルのみ増やしたやうだが、鳥に縋る。

某月某日
 暑さも暑し。呆然として暮す。

某月某日
 中だるみ。また冷水を浴びせられなければならない。

某月某日
 徹夜の仕事。胃が思つたほど重くならず。

某月某日
 一太郎、かすかに使つてみたい気分がある。DDwinが空振りをするやうになつてゐるので、新バージョンの辞書附きと言ふうたひ文句にのつてみたくなつたのだ。
 夜、ビールを飲みにゆき久に行く。カウンターに徳利にさした花があつた。一見しただけで、これは自分の範疇の花だと直感した。首筋から背中に何かが走つた。聞けば杜鵑といふ。白い花弁に紫の班点が散つてゐる。鳥の杜鵑の腹には横縞にみえる斑点があるが、あれになぞらへたものか。ラン科かユリ科だらうと、そこまでは類推できたが、それまでで、ただただ目を奪はれた。劃然と道が見えた。言ふまでもなく、山の中に入るべきなのである。このやうな花が咲いてゐる事を知らないでゐる事は生き物の恥だと痛切に思つた。イワカガミやショウジョウバカマを初めて見たときにも、そんな身震いが起きたことを記憶してゐる。それは二十年も前の話である。自分はこの手の花に感応し易くできてゐるのかも知れない。
 山渓図鑑で調べたらホトトギスは確かにあつた。この図鑑は何度もめくつたがついぞこの花は記憶に残らなかつた。それが不思議なほどだ。徳利の中に咲いてゐたのは、ヤマジノホトトギス。ホトトギスの名が付いてゐるものには多種あつてタマガワホトトギス、ヤマホトトギス、チャボホトトギスなど信じられない名だが、いずれもじつくり眺めてみるとやはり背筋に何かが走るものがある。ドゥエンデがあるのだらう。さらに不思議なのは、ほとんどのホトトギスが全国に分布してゐると言ふ事である。ショウキランを求めて山路に走る人がゐると言ふ話は聞いたことがある。ラン科の花には確かにさうした妖気がある。ホトトギスはユリ科だが、これにも確かにそれがある。ドゥエンデが、あのカウンターで背筋を何かがはしつた瞬間にとりついた気がする。

某月某日
 このところ一行記録になつてゐる。味わふ事が出来る喜びの量はどんなものであれ、例へば磨いた靴の光具合に満足するほどのものである。それ以上の喜びなぞはあり得ない。さうは言つても昨夜のホトトギスが気になつて仕方がない。改めて山渓図鑑を繰つてみると、生育してゐる所を実見したいと言ふ気分がむらむらと起きあがつてきた。図鑑のなかの花々は、それが奇異であるか妖しいか不可思議であるかすればするほどとうてい実見することはないと思ひこんでゐた。しかし待ちこがれるでもなくしてゐる時に、不意に徳利の中に鎮座してゐて、背筋をなでる事もあるのだ。こちらから出かけていけば、徳利の中に現れるよりは遙かに実見する確率は高まるはずではないか。聞けばヤマジノホトトギスは南蔵院の付近の藪にあつたと言ふ。南蔵院にあるものが鴻巣山にないわけが無い気がしてきた。

某月某日
新しいものを書く気にはなれない。何だかくたびれた。



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