『ア、秋だ』の瞬間【サイレントギター日記(7)】

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サイレントギター日記(7)


 毎年、十月のある日、ギターの音が不意に変わる日がある。
 空気が変わるのだろう。昨日までの音とは異なる響き方をする自分のギターを、つくづくと眺めて、それがを感じるときなのだった。
 筐体を持ったギターの場合、その音の相違は顕著で、これでギターの本来の音に戻ったのだと、うれしい気がするものだ。

 けれども、サイレントギターを手にしている今は、あの音の変化はないだろう。筐体のないサイレントギターは、空気が乾き、澄み渡っても、響きに影響するものがないからだ。それは少し残念な気がする。

 今年は、あの『ア、だ』の瞬間を迎えることはないだろう。

 その代わりといってはなんだが、サイレントギターの効用というのは、いくつかあるけれども、もしかしたらこれが一番の効用ではないかと気づいたことがある。

 自分の演奏する音が、はっきりとわかると言うこと、これに尽きる。

 不思議なことを言っているようだが、楽曲の中のある音、もっとも意識が高揚する瞬間の音を、はっきりと意識しながら練習するというのは、けっこう難しい。できるだけ冷静に音を認識しようと心構へているのだが、力んだ聴覚は音をとらえていなかったような気がする。

 サイレントギターで練習を始めてから、ヘッドフォンを通じて聴く音では、楽曲のなかの昂揚の頂点の一音も、あんがい容易に聴き取ることができるのだ。
★サイレントギターの詳しい仕様頁へ



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