ペリーコ・エル・デル・ルナールとマノロ・デ・ウエルバ【フラメンコに於けるギター(3)】

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フラメンコ(16)
フラメンコに於けるギター(3)

 ラモン・モントーヤの、1936年のパリのSalle Pleyelでの十回の一連の演奏会は、フラメンコ・ギターの独奏が、舞台に登場する契機となって、彼は批評や一般の大好評を博しました。

 この成功や、彼の経歴中の圧巻たる時代にも拘わらず、彼の独奏はカンテの伴奏が、ギタリストの主な仕事であったことに鑑みて、殆ど価値なき副業とみなされ続けていました。

 しかしパリでのコンサートやレコーディングは、一般に認められたフラメンコの一部門としてのギター独奏の確立のために、本質的な基盤をもたらしました。

 モントーヤの影響は、ペペ・マルティネス(1920年生)の叙情的なギターの、微妙な変化の中に、直に聞くことができます。
 若い時、彼はモントーヤを崇拝し、21歳の時にはいっしょに演奏旅行をしています。
 またマヌエル・カーノによって録音された捧げ物は、『ラモン・モントーヤのギターの思い出』と呼ばれています。

 多くのギタリストが、この恩恵の範囲を自覚していませんが、殆ど全ての今日のギタリストに、モントーヤからの影響が間接的に働いています。
 モントーヤは妙技的な、より偉大な表現に向かう傾向を固め、戦争中にもそれは持続されました。

 しかし彼に対抗する同時代の若者には、より昔のやり方に従ったスタイルを押し進める者もありました。
 これは能力の不足からというよりも、明らかな、より単純な演奏スタイルこそ、深い感情のより強力な表現として、適しているという確信からでした。

 かくしてペリーコ・エル・デル・ルナール(Pedro Valle1894―1964)は、その活動を、ハヴィエル・モリーナの弟子として、またラモン・モントーヤの崇拝者として開始しながら、後にはゆっくりした、しかし変化に富んだ、積極的に右手の技巧を限定した上にスタイルを開発しました。

 同様にラ・フロンテラのモロン出身の著名なジプシー・ギタリスト、ディェゴ・デル・ガストゥール(Diego Amaya Flores1906―73)は、“器用に速く弾き過ぎることは無意味である”ことを立証しました。

 彼は、高度な技巧と、考えぬかれたクラシカル・ギターのレパートリーを持っていましたが、彼のアイレすなわちフラメンコにおける音楽精神は、根源的で説得力がありました。

 フラメンコの伝説的なギタリストの一人であるマノロ・デ・ウエルバ―――彼の賛美者は、彼の創造力、のびやかさ、演奏技巧、そして表現力の、あらゆる可能な美点を備えていると評した―――は、完璧な右手の技巧を、親指やラスゲアドの使用より軽くみていました。

 不運にもマノロ・デ・ウエルバは、彼の演奏における才気が、彼の奇行と同様に伝説化されてしまいました。

 老いるにつれて、彼は次第に秘密性を強め、私的なお祭り騒ぎ、ホエルガで(そこでもし歌手や、伴奏者や、彼自身の雰囲気が良くとも)聴衆のために演奏することを拒み、他の職業演奏家の前では、彼の最良のものを明らかにせず、録音もわずか二つの取るに足らないものしかありません。

 かくして彼の音楽は、残念ながら彼の死とともに消え、次の世代のフラメンコを富ませるために継承されることはありませんでした。
 彼のスタイルの影響は、メルチョール・デ・マルチェーナの熱情をこめた演奏の中に残っています。

 メルチョール・デ・マルチェーナは、次のように述べています。

 『フラメンコ・ギターは技巧面で大いなる進歩をしましたが、その生命力や魂は失われつつあります。』

 彼のこの危惧、そして秀れた演奏家のうちの小数が、こうした趨勢に抵抗しているにも拘わらず、過去三十年間、技巧は次第にフラメンコ・ギターを支配するようになってきました。
 この間、フラメンコ芸術はかなりの復活をしたように見えますし、その生命力は完全な形で残っていると見受けられます。


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