フラメンコ(12)
現代フラメンコギター(1)
現代のフラメンコギターは現代のクラシックギターに最も近い縁者です。
この二つは共通の祖先を有していて、本質的には同じ方法の手工で作られます。
しかしフラメンコ・ギターには、用いている材木の違いと、寸法や各部の釣り合いの微妙な相違とによって独自の響きと演奏法とがあります。
純粋なクラシック・ギターと同様、フラメンコ・ギターも比較的最近作られ始めた楽器です。
スペインの18世紀後半のギターでは、両者の祖先は“クラシック”と“フラメンコ”とに分かれていません。
これらの楽器は、木製のピンで調音される六弦と、松材の表面板(よく扇状の基板で支えられている)と、またスペイン産のシープレス材か、ブラジルから輸入されたローズウッドで作られた胴を有します。
今日の楽器では、本体にシープレスを用いたものと、ローズウッドを用いたものとの間に、基本的な形態の相違はありません。
当時書かれた音楽的資料の図版は、例えば、農民の民謡や踊りの伴奏に、あるいは優雅な若い女性の室内遊戯にと、あらゆる階層に、あらゆる目的で用いられた、六本の弦の楽器の基本的な一般的な型が載っています。
本来これらは、はっきりした区別や分類方法は、買い手の懐具合以外には何も無い、“普通のスペインのギター”なのです。
全体がローズウッドで、扇状の補強木に支えられたトップと、金属の調弦器を具えたクラシック・ギターの現代的定型が、アントニオ・デ・トーレス・フラドに依って開発されたことに関しては、多くの記録があります。
我々が今日知っているようなフラメンコ・ギターについては、広く論議されたことがなかった。有力な手がかりによれば、1850年代にトーレスがクラシックの型を決定したように、何らかの方法でフラメンコ・ギターの開発と確立に貢献したようです。
この時に、フラメンコ・ギターが独立した楽器となったと考えられる、いくつかの理由があります。
一般的な音楽型式としてフラメンコが発生した時期と、カフェ・カンタンテが設けられた時期は、一致する(原本174ページ参照)。
ギターは基本的にフラメンコの伴奏楽器でしたし、演奏者はそれによって収入を得ていたのですから、フラメンコの要求に特別に応じた楽器の型が現れたことは、驚くべきことではありません。
単に、トーレスよりも優れた楽器を創り出すことができる者がいなかったことが、この型となる理由でもあったのです。
トーレスが1867年に作った、早期フラメンコ・ギターの試奏によって、この型の基本的な性格が明らかになりました。
その六本の弦は、金具ではなく、木製のネジで調弦され、本体はクラシック・モデルよりも小さい。典型的なフラメンコ・ギターの最も重要な二つの性格は、スペイン産シープレス材を背板と側板とに用い、構造上極端に軽量である点にあります。
この魅惑的な亜麻色の木、シープレスの物理的特性は、歪んだりひび割れたりせずに、ローズウッドよりもかなり薄くすることができることです。
薄くて軽いシープレスの側面と背面とにより、フラメンコ・ギター特有の響きをもたらし、そしてそれは他の幾つかの構造的特質を導く要件となりました。
軽さと震動性能の絶対的な理想を保つため、内部構造はクラシックの型よりも簡素です。
例えばトーレスはローズウッド製ギターでは、通常七本用いている扇状の補強木を、フラメンコ・ギターには五本しか使っていません。
木製ネジを付けた頭部も、全体的な重さとバランスを、その軽い本体に見合ったものとするためです。
同様の理由で、トーレスは自分のフラメンコ・ギターの指板に、ローズ・ウッドを敢えて用いるということをしています。ローズ・ウッドは黒檀よりも重いが、耐久力があるからです。
フラメンコ・ギターはクラシック・ギターより低く調弦され、弦は素速い指の移動のために、フレットの隙間を狭くし、指板の幅も狭く作られています。
決定的な特徴として、表面板にゴルペ板やタップ・プレートを貼って、ギタリストが指で叩くことから保護するように作られています。この指の動きは、フラメンコの技巧に特有のものです。
初期には安価な楽器の需要が、フラメンコ・ギターの多くの特色を生む動機となったのだ、と言われました。
確かにこの説は、一部、真実です。フラメンコ・ギタリストは、昔から裕福ではなかったのですから。
スペインではシープレスが、輸入されるローズウッドよりも安いですし、木ネジは調弦機よりも安いので、フラメンコ・ギターの製造者は同様なクラシック型よりも、低価格で作れたのです。
しかし、経済上のことは一側面にすぎません。
フラメンコは、ギターの性能に独得な要求をする、複雑な音楽です。フラメンコ・ギターの特色の全てを、フラメンコ音楽の要求によるものと解釈し、判断しても誤りではありません。
フラメンコ・ギターは、カンテやバイレの伴奏楽器として発展して来ました。従ってリズムを打ち、唄に和したハーモニーを奏で、ファルセータの旋律的な部分を繋ぐことができなければなりませんでした。
それはマヌエル・レイエスが“激しさと、甘美さ”と言ったところに集約されるが、それは衝撃的な拍打ちを伴わなければなりません。この衝撃的な拍打ちは、歌い手の荒々しい声や、平手や指での打音では発することができません。
軽くて震動しやすいフラメンコ・ギターの本体は、この目的には理想的です。クラシック・ギターより、荒々しい、より光沢のある音を発し、鋭い音の頻発を強調し、音の分離が良いからです。
テクノラティプロフィール

現代フラメンコギター(1)
現代のフラメンコギターは現代のクラシックギターに最も近い縁者です。
この二つは共通の祖先を有していて、本質的には同じ方法の手工で作られます。
しかしフラメンコ・ギターには、用いている材木の違いと、寸法や各部の釣り合いの微妙な相違とによって独自の響きと演奏法とがあります。
純粋なクラシック・ギターと同様、フラメンコ・ギターも比較的最近作られ始めた楽器です。
スペインの18世紀後半のギターでは、両者の祖先は“クラシック”と“フラメンコ”とに分かれていません。
これらの楽器は、木製のピンで調音される六弦と、松材の表面板(よく扇状の基板で支えられている)と、またスペイン産のシープレス材か、ブラジルから輸入されたローズウッドで作られた胴を有します。
今日の楽器では、本体にシープレスを用いたものと、ローズウッドを用いたものとの間に、基本的な形態の相違はありません。
当時書かれた音楽的資料の図版は、例えば、農民の民謡や踊りの伴奏に、あるいは優雅な若い女性の室内遊戯にと、あらゆる階層に、あらゆる目的で用いられた、六本の弦の楽器の基本的な一般的な型が載っています。
本来これらは、はっきりした区別や分類方法は、買い手の懐具合以外には何も無い、“普通のスペインのギター”なのです。
全体がローズウッドで、扇状の補強木に支えられたトップと、金属の調弦器を具えたクラシック・ギターの現代的定型が、アントニオ・デ・トーレス・フラドに依って開発されたことに関しては、多くの記録があります。
我々が今日知っているようなフラメンコ・ギターについては、広く論議されたことがなかった。有力な手がかりによれば、1850年代にトーレスがクラシックの型を決定したように、何らかの方法でフラメンコ・ギターの開発と確立に貢献したようです。
この時に、フラメンコ・ギターが独立した楽器となったと考えられる、いくつかの理由があります。
一般的な音楽型式としてフラメンコが発生した時期と、カフェ・カンタンテが設けられた時期は、一致する(原本174ページ参照)。
ギターは基本的にフラメンコの伴奏楽器でしたし、演奏者はそれによって収入を得ていたのですから、フラメンコの要求に特別に応じた楽器の型が現れたことは、驚くべきことではありません。
単に、トーレスよりも優れた楽器を創り出すことができる者がいなかったことが、この型となる理由でもあったのです。
トーレスが1867年に作った、早期フラメンコ・ギターの試奏によって、この型の基本的な性格が明らかになりました。
その六本の弦は、金具ではなく、木製のネジで調弦され、本体はクラシック・モデルよりも小さい。典型的なフラメンコ・ギターの最も重要な二つの性格は、スペイン産シープレス材を背板と側板とに用い、構造上極端に軽量である点にあります。
この魅惑的な亜麻色の木、シープレスの物理的特性は、歪んだりひび割れたりせずに、ローズウッドよりもかなり薄くすることができることです。
薄くて軽いシープレスの側面と背面とにより、フラメンコ・ギター特有の響きをもたらし、そしてそれは他の幾つかの構造的特質を導く要件となりました。
軽さと震動性能の絶対的な理想を保つため、内部構造はクラシックの型よりも簡素です。
例えばトーレスはローズウッド製ギターでは、通常七本用いている扇状の補強木を、フラメンコ・ギターには五本しか使っていません。
木製ネジを付けた頭部も、全体的な重さとバランスを、その軽い本体に見合ったものとするためです。
同様の理由で、トーレスは自分のフラメンコ・ギターの指板に、ローズ・ウッドを敢えて用いるということをしています。ローズ・ウッドは黒檀よりも重いが、耐久力があるからです。
フラメンコ・ギターはクラシック・ギターより低く調弦され、弦は素速い指の移動のために、フレットの隙間を狭くし、指板の幅も狭く作られています。
決定的な特徴として、表面板にゴルペ板やタップ・プレートを貼って、ギタリストが指で叩くことから保護するように作られています。この指の動きは、フラメンコの技巧に特有のものです。
初期には安価な楽器の需要が、フラメンコ・ギターの多くの特色を生む動機となったのだ、と言われました。
確かにこの説は、一部、真実です。フラメンコ・ギタリストは、昔から裕福ではなかったのですから。
スペインではシープレスが、輸入されるローズウッドよりも安いですし、木ネジは調弦機よりも安いので、フラメンコ・ギターの製造者は同様なクラシック型よりも、低価格で作れたのです。
しかし、経済上のことは一側面にすぎません。
フラメンコは、ギターの性能に独得な要求をする、複雑な音楽です。フラメンコ・ギターの特色の全てを、フラメンコ音楽の要求によるものと解釈し、判断しても誤りではありません。
フラメンコ・ギターは、カンテやバイレの伴奏楽器として発展して来ました。従ってリズムを打ち、唄に和したハーモニーを奏で、ファルセータの旋律的な部分を繋ぐことができなければなりませんでした。
それはマヌエル・レイエスが“激しさと、甘美さ”と言ったところに集約されるが、それは衝撃的な拍打ちを伴わなければなりません。この衝撃的な拍打ちは、歌い手の荒々しい声や、平手や指での打音では発することができません。
軽くて震動しやすいフラメンコ・ギターの本体は、この目的には理想的です。クラシック・ギターより、荒々しい、より光沢のある音を発し、鋭い音の頻発を強調し、音の分離が良いからです。
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