シュカブラ渡り【草の宿(14)】

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草の宿(14)

 『今日は、何度夢を見るのだろう』と、少年は思いました。

 青い雪原に広がる、風紋、・・・・それは、シュカブラと呼ばれていました・・・・その、渦を巻いたり、薄衣がたなびいているかのような文様は、彼がスキーを進めるたびに色彩と輝きを変えました。
 斜面を登ってゆくと、シュカブラは、月の照射に銀色ににじみ、斜めに斜面を滑走すると、藍色から黒い色の影になるのです。

 少年は、しばしば、空を飛ぶ夢を見ました。強く、熱く、願うと、空を飛べたのです。 そして少年は、それよりも、もっとしばしば、虚空を落ちて行く夢も見ました。その夢は、突然に始まり、ただ、少年は、空の高いところから、落ちてゆくばかりです。

 これらのふたつの夢の共通するところは、少年が舞い上がり、少年が落ちて行く虚空が、いつも夜のそれであることでした。見下ろす風景は、どちらも、青く発光していたのです。それは、彼が、まさに、今、スキーでさまよう世界でした。

 『これは、夢なのか』

 それは夢ではありませんでした。

 少年は、雪の原に横たわりました。

 月を見上げました。月は、暖かな色で、彼の真上にありました。



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